コアラの雑記帳

しがない地方公務員が備忘録的に日々感じたことや言いたいことを書いていきます。継続は力なり。100記事を目標に。

【アドラー】嫌われる勇気(第1夜)について【感想・まとめ】

こんにちは、コアラです。

『嫌われる勇気』を読みましたので理解を深めるために文字に起こして考えなどをまとめたいと思います。興味があればぜひ本を読んでみてください。その際の参考になれば幸いです。

 

この本は、アドラー心理学を青年と哲人の対話形式でわかりやすく・読みやすく解説してある本です。

アドラーは、ユングフロイトと並ぶ心理学の三大巨頭の一人です。有名な書籍である『7つの習慣』にもアドラー心理学の考え方が色濃く出ているそうです。世界的にはかなりメジャーな心理学者です。

 

まず、この本を読んで思ったのは「今の人生・自分に満足している人は全てを参考にしなくても良い」です。もちろん参考になる考え方、取り入れた方がいい考え方がたくさんあるのでそれらを取り込んでいくのはいいと思います。ただ全てを真似する必要はないかもしれません。取捨選択し、自分の生き方・人生にプラスになるものを取り込んでいく姿勢でひとまずいいのでは無いでしょうか。もしかしたら、取り込んでいくうちに最終的にはアドラー心理学全体の考え方にたどり着くかもしれません。

 

第1夜では、以下のテーマについて議論がされています。

・人は変わることができる

・トラウマは存在しない

・目的論について

・人は変わらない決心をしている

これらのテーマは独立しているのではなく相互に密接に絡み合っています。なので、一つ一つ議論するのはまり得策では無いかもしれません。ここでは、本の流れに沿いつつも少し順番を変えつつ進めていきたいと思います。

アドラーは、「人は変われる」と考えています。多くの人は「人は変わることができない」と考えているかもしれません。しかし、アドラーは変われると断言しています。変われない理由の一つにトラウマがあると考える人も多いかもしれません。過去にこういうことがあったから今の自分があると。その出来事がなかったのなら今の自分は違うと。このような考え方をしていると確かに人は変わることができないかもしれません。

そこでアドラー次のように考えました。「トラウマなんてない。今の自分があるのは目的があって今の自分があるのだ」と。本書では引きこもりについて具体例があがっています。人が引きこもるのは、引きこもる理由があって外にでるのが不安だから引きこもっている。その理由は人それぞれだとは思いますが、理由の一つに過去のトラウマを挙げる人もいるでしょう。この考え方を「決定論」といいます。「決定論」は、過去の出来事だけで物事を説明しようとすることです。しかし、この考え方をしている限り先には進めなくなります。過去は変えることができないので、過去に縛られたままでいると変わることができません。なので、アドラーは「過去の原因ではなく、今の目的」を考えました。つまり、引きこもりの場合は「外に出たくないから、不安な感情を作り出している。」と。これを「目的論」と呼んでいます。先ほども書きましたが、「決定論」に縛られている限り人は先には進めません。

アドラーは、明確にトラウマを否定しています。トラウマの議論をする中で次のように語っているそうです。「いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。われわれは自分の経験によるショックーいわゆるトラウマーに苦しむのではなく、経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである。」つまり、同じようなトラウマを抱えた人でも、それを克服し先に進む人とそうでない人がいるのは、そのトラウマに対する見方・捉え方が異なるからということ。自分と同じような経験をした人は世の中にごまんといます。それでも、先に進める人とそうでない人がいるのはその出来事に対する考え方の違いでしょう。過去の経験に対する意味付けは、自分にしかできません。当たり前ですが、人生は自ら選択するもので、自分がどう生きるかを選ぶのは自分なのです。それをいい方向に持っていくのか、何も変わらず現状維持、はたまた悪い方向に持っていくのかを決めるのは自分です。他の誰のせいでもありません。先ほど例に挙げた引きこもりについて言えば、何か目的があって引きこもっていると考える。その目的は人それぞれでしょうが、「外に出ない」という目的のために引きこもっているのかもしれません。なぜそのようなことをするのか。それは、引きこもることで自分を丁重に扱ってくれる、自分を大切にしてくれるからとアドラーは言います。外に出ると、その他大勢と同じで誰も自分を特別扱いなんかしてくれないでしょう。それを回避するために引きこもっていると考えます。なので、引きこもりの場合は引きこもることで自分の目的が達成されているのです。そして、今の状態に不満はあるかもしれませんが、今の状態でも満足しているのです。このように解説されていました。人は皆、なにかしらの「目的」に沿って生きている。私たちは「目的論」の住人なのです。このような考え方に至るのは、アドラーが「人は変われる」と考えていたからです。もし、人は変われないと考えていたのなら決定論に行き着いてしまいます。「人は変われる」と信じたアドラーだからこの考え方に行き着いたのではないでしょうか。

次に、「人は変われる」についてです。本書の中では、なぜ変わりたいのかと青年は哲人に問われています。そこで青年は身近にいるAさんのようになりたいと答えています。Aさんは、自分にないものを持っていて、もし変われるならあのひとのようになりたいと。そこで哲人は別人になりたがっている目的を聞いています。そうすると青年は彼のようになれれば、幸せでしょうと答えています。すると哲人は、あなたは今幸せではないわけですねと聞き返しています。青年は、幸せでないことを認めました。もし、幸せでないと感じているならこのままでいいはずがありません。立ち止まることなく、一歩踏みだなくてはいけないと、哲人は答えています。アドラーは、自分が幸せではないということも自分で選択したものだと考えています。不幸であることが自分にとっての善いことであるとしたから今の自分があると。今の自分の価値観が作られたのは10歳ごろだとアドラーは考えています。この価値観を「ライフスタイル」と呼んでいます。ライフスタイルは、その人の性格や気質のことです。さらに、以下のような説明が付け加えられています。

ライフスタイルとは、「その人が『世界』をどのように見ているか。また『自分』のことをどう見ているか。これらの『意味付のあり方』を集約させた概念。狭義的には性格とすることもできるし、広義的にはその人の世界観や人生観を含んだ言葉。」

ですので、ライフスタイルは後天的で自分で選んだものなのです。ライフスタイルを狭義的に性格と捉えてしまうと変えられないという固定観念から逃れられないかもしれませんが、世界観と捉えて考え方を変えれば少し違った見方ができます。そして、そのライフスタイルは自分で選んだものなのです。自分で選んだものだからこそ、自分で選び直すことができるとアドラーは考えています。このライフスタイルは選び直すことができるのですが、変われないものだと信じている人もいるかもしれません。ですが、あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という不断の決心を下しているからです。なぜこのような考え方になるのか。少しぐらい不自由なことや不便なことがあっても、いまのライフスタイルのままのほうが使いやすく、そのまま変えずにいる方が楽だと思っているから。もし「このままのわたし」であり続ければ、発生する出来事に対して経験則からこの先何が起こるか予測できます。一方、新しいライフスタイルを選んだのなら新しい自分になにが起きるのか予測不能でどう対処したらいいかわかりません。未来がどうなるかもわからないし、不安だらけの人生を送るかもしれません。つまり、人は色々と不満があったとしても「このままのわたし」でいることのほうが楽であり、安心であるということです。このような考えがあるので、人がそのライフスタイルを変える時「勇気」が試されます。変わることに対する「勇気」です。アドラー心理学が勇気の心理学と言われる所以です。変われない人に足りないのは、「幸せになる勇気」が足りていないとも言えます。

そこで疑問に思うのが、ではどうしたら人は変われるのかということでしょう。それは、「いまのライフスタイルをやめる」という決心をすることだと言います。たとえば、「もしも誰々のようになれたら自分は幸せになれる」と言っていた青年のような場合、「もしも何々だったら」と可能性の中に生きているうちは、変わることができません。これは、自分への言い訳として「もしも何々だったら」と言っているからです。この言い訳をやめる決心をすること。それが自分は変わることへの第一歩なのです。可能性の中に生きている人は、様々な理由をつけて本当はやるべきこと、やりたいことを避けています。それはとても苦しい人生になってしまいます。自分の人生は自分で決めている、アドラーはそう言っています。あなたは「あなた」のまま、ただライフスタイルを選び直せばいい。ライフスタイルを選び直すこと、つまりアドラーのいう「目的論」は、これまでの人生何があってもこれからの人生には何の影響もないと、言っているのです。とてもシンプルですが、実践するのは難しいかもしれません。ですが、このような考え方があるのだと理解し、覚えておけばいつの日かライフスタイルを変えることができるかもしれません。今の自分は幸せではない、もっと幸せになりたいと考える人にとって知っておいて損はない考え方であることは間違いありません。自分の人生を決めるのは、「いま、ここ」に生きる自分なのです。

以上が、第1夜の個人的なまとめです。

自分がここのパートを読んだ時一番響いたのが、可能性の中に生きることは苦しい人生になるということでした。可能性の中に生きることはある意味楽かもしれませんが、それは自分に対して嘘をつくことになり他人に対しても嘘をつくことになりかねません。そんな人生は辛く苦しいものでしょう。精神的にもしんどいと思います。可能性の中に生きるのはやめて、自分がしたいこと思っていることに正直になろうと考えました。ほかにも、怒りは捏造されると言ったような考え方も参考になりました。アドラー心理学は、アンガーマネジメントにも役立ちます。人は言葉で語ればいいのです。怒りに任せて、はたまた感情に任せて他人を支配する必要はありません。対話でコミュニケーションを取ればいいのだと改めて思いました。

これを読んでくれた方が「嫌われる勇気」を読むきっかけになっていただければ幸いです。今後、第2夜、第3夜と暇を見つけて書いていきたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました。ご意見・ご感想あったらコメントいただければ嬉しいです。

ありがとうございました。